明治時代のドイツと日本の関係性は意外に深かった?

明治時代k (41)© The New York Public Library, 2016

ドイツと言えば何を思い出すと質問されたらビールやソーセージを思い浮かべる人も多いと思われますが、実は明治時代はドイツと日本は深い関係性があったことをご存知でしょうか。

明治時代におけるドイツとの関係性はどのようなものだったのでしょうか。

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■実は根深かったドイツと日本の関係性

そもそもドイツと日本の関係性が明らかになったのは明治時代より前の江戸時代が最初であり、それ以前には全く関係がなかったとされています。

日本は鎖国制度があったために長崎の出島以外での外国人との交流は禁じられていたのですが、実はここにもドイツと日本の関係性を物語る事実があるとされています。

国家同士の交流があったとされるのはヨーロッパでは唯一オランダだけであったとされていますが、そのオランダ人が日本に派遣した商館員の中にドイツ人の医師が二人含まれていたのです。

その後、明治2年になると医学制度改革によってそれまで臨床医学主体のイギリス医学を中心に行っていたのを、世界でも優勢になりつつあったドイツ医学を採用することになります。

医療現場でのカルテはドイツ語であることの理由は、明治時代にドイツ医学が用いられるようになったことも関係しているのですね。

日本がドイツを模範としていたのは当時の国の状況が似ていたから?

明治時代のドイツがどのような状態だったかというと、18世紀後半に北東部に存在する国であったプロイセンが周辺国家をまとめてドイツ統一に成功し、ドイツ帝国を成立したのは1871年、明治4年のことでした。

それまでドイツと言っても現在のように一つの国として存在していたわけではなく大ドイツ主義と小ドイツ主義に分かれ対立していたとされています。

明治維新が起こったのはそれより少し前の時期であったために、近代化を目指す日本においては政治や文化、教育などの指針を決めるのに日本独自のやり方で決めるのではなくまずは欧米のお手本が欲しかったのです。

近代化を目指すにあたってきちんとした憲法を作ろうと思っていた日本は、アメリカやイギリスなどの判例主義では参考になりませんでした。

では、どこの国の憲法を参考にしようか悩んでいたところ、オーストリアやロシアなど大国の干渉にさらされながらイギリスやフランスとも対等に対峙し合えるだけの国家を作り上げたドイツは、君主制を行っており、それが明治時代の近代化を目指す人々にとってまたとないお手本だったのです。

加えて、侯爵や公爵などの身分制度があるドイツは日本で言うところの各藩として独立しているという状態が非常によく似ていることから、、その上で天皇(ドイツで言うところの国王)が初めて国民に対して憲法を与えるというシステムは当時の明治政府にとって非常に都合が良かったようです。

その他にもフランスの憲法も参考にしながら、のちの欽定憲法となるプロイセン憲法を参考に明治憲法を作ったとされています。

国が誕生したばかりの明治時代のドイツというのは日本の状況とよく似ていたことから政治や軍事だけでなく文化や経済においても範例の材料として非常に役立ったのです。

日本の近代化はビスマルクのおかげ?

近代化国家の建設を目指して海外へ渡航する使節団が組まれたのはドイツ帝国が成立した1871年、明治4年から1873年で、そのメンバーは岩倉具視や大久保利通などを始めとした岩倉使節団でした。

しかし、アジアの小さな島国であった日本がフランスやオーストリアなどの大国に技術供与やお雇い外国人等の人的支援を求めた際にきちんと受け入れられたのかと言えばそこは判断が難しく、そもそも話し合いのテーブルにさえついてもらえなかったのではと言われています。

ただ、鉄血宰相の異名を持つドイツ帝国のビスマルク首相は、技術の専門家としてお雇い外国人を日本に派遣してくれたり経済的支援を受け入れてくれるなど日本の近代化に一役買って出てくれたのです。

また、ドイツだけに限らずイギリスやフランスも鉄道の建設において全面的な協力を惜しまなかったり現在世界遺産ともなった富岡製紙工場の建設や運営にも携わってくれたとされています。

これだけ近代化においてお世話になったドイツとも、第一次世界大戦ではドイツの植民地であった青島やミクロネシアをめぐって日独戦争を行いその上で勝利したのですが、その際にドイツ捕虜からソーセージやバウムクーヘンなどのドイツの食べ物を教わりそれが日本で初めて作られるようになったことから、戦争をしていてもそれほど関係性は悪くなかったのかもしれません。

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