c The New York Public Library
今でさえ日本は男子に対して徴兵制を設けていませんが、自衛隊を強化して世界各国に派遣させるようになるなら近い将来徴兵制が始まることもあるのかもしれません。
明治時代には、徴兵制があったとされていますが、実際にはどんなものだったのでしょうか。
実は不公平?明治時代の徴兵制について
江戸時代、戦争は武士の仕事であり例外があったかもしれませんが基本的には一般庶民が戦争に行かされることは少なかったとされています。
しかし、江戸時代が終わりをつげ明治時代に入ると今までいた武士たちもお役御免となり、戦争が起こった時に兵士として働いてくれる人がいなくなってしまったのです。
また、明治政府は「富国強兵」をスローガンに掲げていましたが、これは国を豊かにするだけでなく平民出身の強い軍隊を作って万が一に備えようという明治政府の考えが盛り込まれていたのです。
そのため、平民出身の軍隊を作るために徴兵制を行うのですが、必ずしもすべての男子が対象というわけではなく、言ってみれば不公平だったところもあったようです。
たとえば、一家の主人や長男であれば徴兵制を免れることが出来たため、実際に徴兵制に駆り出されたのは次男や三男ばかりだったとされています。
長男に生まれなかっただけで兵士にならなければならないなんて、今の現代だったらすごいきょうだい喧嘩を引き起こしそうな話ですね。
苗字を付ける義務は政府の徴兵制の策略だった?
苗字と徴兵制は一見関係ないように思われるかもしれませんが、実は大きな関係性があったことをご存知でしょうか。
江戸時代までは、一部の商品や庄屋、豪商などを除き一般庶民は名前を付けることを義務付けられていませんでした。
勝手に苗字を名乗っている人もいたかもしれませんが、公には認められていないものだったのです。
明治時代に入ると、明治政府から「平民苗字必須義務令」というものが公布され平民も公に苗字を名乗ることを許されたのです。
ただ、これは一見良い話のように聞こえますが実は明治政府の徴兵制の策略の一つだったのです。
徴兵制を行う上で、どこの誰それなのかを知ることが必要ですが、苗字を付けることは徴兵をスムーズに行う上で理にかなった方法だったのです。
つまり、「今日から○○さんは徴兵制に従ってもらいます」と指名するのに便利だからこそ、一般庶民に苗字を付けることを義務付けたのでした。
行きたくなくてわざと怪我をする人も
明治時代に入り富国強兵を目指して一般庶民も普通に徴兵制を行うことになったわけですが、今まで普通に畑を耕したり他の仕事をしていた人が、急に兵士として働かなければならなくなったのです。
訓練も何も受けていない平民たちで強い軍隊を作ることが出来たのか疑問に思われる人もいるのではないでしょうか。
もちろん、明治政府も何もしなかったわけではありません。
西洋の軍隊制度を取り入れたり、諸外国から軍隊の訓練を指導してくれる外国人を呼ぶなどしてなんとか庶民を兵士として役立たせるように試行錯誤をしたとされています。
そうはいっても、今まで好き勝手に過ごしてきたのが急に徴兵制に従えと言われた庶民の中には、抗う者も出てきました。
村から逃げ出す人はもちろん、わざと怪我をしてい行けなくなるようにする人もいるなど、明治後期にもなると毎年5~6千人は逃亡者がいたとされています。
国の都合で兵隊になれと言われても、そんな簡単に従うことが出来ないと思うのはいつの世も同じなのかもしれません。